​【実験編】拾ってきた石で絵の具作り!実際に描いて分かった「数百万年の泥」のポテンシャル

専業主婦のエッセイ

前回の記事で、数年間水槽のレイアウトにしていた水色の「やまいし」が、擦るだけで美しいミルキー翡翠色の泥絵の具になることをご紹介しました。

水槽の「富士山」を擦ってみたら。二年間気づかなかった、我が家の小さな縄文ブレイク

これは実際に紙に描いたらどうなるんだろう…?

そんな知的好奇心が抑えきれず、「泥絵の具作り」に挑戦してみました!

実際に手を動かして分かった驚きの書き味や、この石が秘めていた意外な正体について、レポートします。

水槽の「富士山」を擦ってみたら。二年間気づかなかった、我が家の小さな縄文ブレイク

成り行きの水加減で、見切り発進!とりあえず、家にあったヤスリで削ってみた。

最初は「水の中で濡らした石同士を擦り合わせて色水を作る」という風流な方法を試したのですが、連日の猛暑のせい?数日放置してもなかなか水分が飛びません。

しかも、入れ物は使わなくなったタッパーwww

サンリオのハミングミント。ミント色だしね!(後付け)

​そこで、富士山型の美しいシルエットを崩さないよう削り位置を定め、乾いた状態で工作用の金ヤスリを使ってガリガリと削り落とす作戦に変更しました。​

ヤスリの目が細かかったため、地道な作業ではありましたが、少しずつサラサラとした翡翠色の粉が集まっていきます。

​【注意ポイント】

石を乾いた状態で削ると、目に見えないほど細かい粉塵が舞います。

作業中はマスクとメガネを着用し、うがいをするのがお約束です!

私はうっかり吸い込んでしまい、鼻をかんだりうがいをしたりとプチ騒ぎになりました。

​こうして集まった美しい粉に、乾いてもポロポロと剥がれ落ちないためのつなぎ(固着剤)として、液体のりをほんの少しだけ混ぜて、いざ実践です!

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驚くほどなめらか!まるで「薄い墨汁」のような書き味

​筆にたっぷり翡翠色の泥絵の具を含ませて、画用紙に「やま」と書いてみました。

​あれ?思ったよりずっと書きやすい……!

​ザラザラして筆が引っかかるかと思いきや、筆含み、書き味、のびのすべてが、まるで「薄い墨汁」を扱っているかのように滑らか。

意識を集中すると、ほんの少しだけ心地よい粒子感(紙を捉える確かな手応え)がありますが、すらすらと気持ちよく筆が走ります。

​色は、元の石の明るい水色よりも、水と混ざることで「ほんの少しだけ落ち着いた、深みのある上品な翡翠色」に変化しました。

これが乾くとマット(ツヤ消し)な質感になり、市販の絵の具には出せない、なんとも言えない奥深い情緒を醸し出します。

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理科の不思議:この絵の具、水に「溶けて」はいない?

​ここで、科学的にとても面白い発見がありました。

​学校の授業で「溶ける=透明になる(食塩水など)」と習いますが、この泥絵の具は全く違います。

水に溶かして5日ほど放置していたのですが、重い粒子はすぐに底に沈殿するものの、上澄みの水はどれだけ待っても透明にはならず、ミルキーな翡翠色に濁ったままなのです。

その後観察し続けても、上澄みすら透明にはならず、

1週間放置したら完全に蒸発してたwww(蓋してたのに…)

もはや固形絵の具

​実はこれ、化学(地質学)的には「懸濁液(けんだくえき) / サスペンション」と呼ばれる状態。

この石が、極めて微細な粘土鉱物の集まり(緑色凝灰岩が風化したもの)だからこそ、目に見えないほど軽い粘土粒子が水の分子の中でプカプカと漂い続け、上澄みを濁らせているのです。

​そして、この「薄い板状の粘土粒子が、水の中で重なり合いながら滑り合っている」という構造こそが、あの墨汁のようになめらかな書き味の正体でした。

まさかの事実:この石、あの「高級泥パックやファンデーション」の仲間だった!

​「サラサラと滑らかに伸びる、超微細な石の粉」と聞いて、何かピンとくるものはありませんか?

​実は、私たちが普段使っている「ファンデーション」や「泥パック(クレイパック)」の主成分も、これとまったく同じ粘土鉱物(タルクやマイカ、カオリンなど)なのです。

​⭐️ファンデーションのなめらかさ

石の粉(粘土)がお肌の上で滑り合うことで、あのサラサラな質感が生まれます。​

⭐️クレイパックの吸着力

火山灰由来の緑色のクレイは、まさに今回の富士山石と同じ仲間。

豊かな天然ミネラルを含み、毛穴の汚れを吸着する力を持っています。

粘土の粒子って、小麦粉の粒子よりずっっと細かいんだって。

小麦粉パウダーの秘密と、地質学の「4マイクロメートル」

​乾いたあとに触ると、まるで「小麦粉のように細かいパウダー」になって指にピタッと吸い付いたこの泥絵の具。

​実は地質学の世界では、この「細かさ」にとても厳格なルールがあります。砂や泥、粘土といった土の粒は、以下のようにサイズで名前が決まっているのです。

​●(すな): 0.06mmより大きい粒

​●(シルト): 0.004mm 〜 0.06mmの粒​

粘土(ねんど): 0.004mm(4マイクロメートル)以下の極小の粒

小麦粉の粒の大きさがだいたい0.01mm〜0.1mmほどですから、この石から生まれたパウダーは、「小麦粉よりもさらに細かい、地球上で最小クラスの粒(粘土)」ということになります。

​数百万年もの間、地中で限界まで押し固められていた「4マイクロメートル以下の粒たち」が、今、我が家の画用紙の上で再び解き放たれた……。

指先についた翡翠色のサラサラは、まさに地球が極限まで磨き上げた「ミクロの芸術」そのものだったのです。

​つまり、我が家の水槽で魚たちと2年間まったり過ごしていたあの石は、極限まで精製すれば「そのまま高級オーガニックコスメの原料になる」ほどのポテンシャルを秘めた、超エリートな粘土岩だったのです。

そう思うと、なんだか急に石に対するリスペクトが湧いてきます…。

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水槽の「富士山」を擦ってみたら。二年間気づかなかった、我が家の小さな縄文ブレイク

宝石よりも愛おしい、数百万年の「生きた教材」

​形を崩さないように底だけを少し分けてもらい、また静かに水槽の主たちの元へ帰っていった「やまいし」。

​まさか拾ってきたタダの石から、​

☑️古くからの色彩の世界に触れ、

☑️地層や火山灰の数百万年の歴史に驚き

​☑️お化粧品や理科の「懸濁液」の仕組みまで学べる​

なんて、想像もしていませんでした。

​もし、皆さんの家のアクアリウムの底や、子供の机の中などに、一見なんの変哲もない、けれど妙に惹かれるカラフルな石が眠っていたら……。

それはもしかしたら、地球が何万年もかけて閉じ込めた「太古の泥の記憶」を宿した、魔法の石かもしれません。

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