
「ピアノは弾けるけれど、楽譜がないと何もできない」
「ピアノは弾けるけれど、楽譜が読めない!」
「早期教育には興味があるけれど、詰め込み教育には抵抗がある」…
もし、あなたがそんな風に感じているなら、この記事が「音」への向き合い方を変えるきっかけになるかもしれません。
今回は、私が娘に実践した音感トレーニングをさらに深掘りし、絶対音感があることで、
☆子供の人生(や性格)にどんな良い影響があるのか?
☆「ピアノが弾ける」と「ドレミで歌える」の決定的な違いとは?
☆なぜヴァイオリン経験者は音感が鋭くなりやすいのか?
といった、知っているようで知らない「音感の本質」について、実体験を交えてお話しします。
↓私の感覚「相対音感」ピアノの音なら絶対音で分かるタイプ

【音感の深掘り】絶対音感は「天才」ではない。一生モノの「音楽の耳」を作る親の根気

絶対音感って、結局何の役に立つの?
実用的なメリットは、主に以下の5点です。
1、譜読みが圧倒的に早くなる
楽譜を細かく追う前に、曲を聴くだけで音がわかります。その先の展開が「地図をたどるように」理解できるため、習得スピードが格段に上がります。
2、ハモりやアンサンブルがしやすくなる
他の楽器や歌の声が「どの音を鳴らしているか」を瞬時に把握できるため、周囲と音を合わせるのが容易になります。音楽を通じて誰かと繋がる喜びを、より深く味わえるようになります。
3、耳コピー(採譜)が容易になる
楽譜がなくても、聞こえてきた音を即座にドレミで再現できるようになります。作曲や即興演奏にも大いに有利です。
4、暗譜(記憶)が早くなる
「手の動き」だけでなく「音の名前」として曲を覚えられるため、記憶が定着しやすくなります。
5、ミスや音の狂いにすぐ気づける
自分の演奏が正しいかどうかを、自分の耳で即座に判断できます。

💡 【注意】「音感」と「アウトプット」は別問題
ここで一つ、大切なポイントがあります。
「音感があれば、歌も完璧に上手くなる」と思われがちですが、実は音感と発声(アウトプット)は別物です。
歌の場合、喉や体の使い方といったフィジカル(身体的)な要素が大きく影響します。
いわゆる「自分では外れていることに気づかないタイプ」の音痴になる心配はありませんが、「頭で想像している通りの音」を体で鳴らすには、やはり別途練習が必要なのです。

子供の性格に影響はある?
トレーニングの過程や能力の特性は、心の成長にもポジティブな影響を与えます。
●精神的な安定感
自分の中に「ものさし」のような、ある種の揺るぎない拠り所が作られることで、「落ち着く」「不安が少ない」と感じられるようになると言われています。
●集中力と継続力
数年間のコツコツとしたトレーニングを通じて、一つのことに取り組む忍耐強さが養われます。
マンネリとは違う意味で、「続けること」は普通のこと、と自然に認識していきむす。
●聴く力の純度が高まる
音に対して神経質になるのではなく、むしろ逆です。音の輪郭をはっきり捉え、大切な音や言葉をスムーズに聞き分ける「聴覚の解像度」が上がります。
雑多な音の中でも自分に必要な情報を正しく抽出できるため、それが情緒的な落ち着きや、パニックにならない安心感に繋がると言われています。
●自己肯定感の向上
分かること、できることを褒められる経験や、「自分だけに聞こえる特別な世界がある」という感覚が、自己肯定感の種になることもあります。
音程の感覚的理解のある子は、論理的思考や理数系科目との繋がりもあり、頭のよい子が多いと言われています。
絶対音感 vs 相対音感。どっちが「便利」?
結論から言えば、「どちらもあれば最高。でも役割が違う」です。
相対音感: 調(キー)が変わっても対応できるため、カラオケやアンサンブル、即興演奏で非常に役立ちます。音楽の「関係性」を、感覚的に瞬時〜数秒で認識・理解する力です。
絶対音感: 音を記号(ドレミ)として一瞬で認識する「辞書」のような力です。「相対音感の方が便利」という意見もありますが、絶対音感は「一生消えない音楽の土台」になります。習い事をやめても、楽器から離れても、その「耳」は一生の財産として残り続けます。

絶対音感が強すぎることで直面する「意外な苦労」
1. 吹奏楽部などで「移調楽器」を扱うときの壁
吹奏楽やオーケストラには、楽譜の「ド」を吹くと、実際には「シ♭(B♭)」が出るトランペットやクラリネットなどの「移調楽器」が存在します。
絶対音感が強い子にとって、目で見ている楽譜(ド)と、耳から聞こえる音(シ♭)が一致しない状態は、脳内がパニックになるほど気持ち悪く感じることがあります。
ここでは「相対音感(移動ド)」的な頭の切り替えが必要になり、むしろ絶対音感が「邪魔」をしてしまう瞬間があるのです。
私は相対音感持ちですが、小学校時代、吹奏楽部でホルンを吹いていた時期、ピアノなら楽譜を瞬時に読んで歌えて弾けたのに、部活のホルンとなると、簡単な楽譜が、ど〜〜〜うしても体に入ってこないのです。そのため、手で覚え、認識をごまかしごまかし凌いでいました。
今思えば、譜面上の音と実際鳴る音が違うことによる混乱だったと分かります。当時は状況も理由も訳が分からず、誰かに説明することもできず、本当に悩みました。
2. 「移動ド」はできるのか・許せるのか
相対音感の得意な人が行う「移動ド(どんな調でも主音をドと読む方法)」は、絶対音感保持者にとっては「名前の書き換え」のようなもの。
「ド」はどこまでいっても「ド」でしかないため、他人がドではない音を「ここがドだよ」と言うことに、生理的な違和感を覚えることも少なくありません。
そもそも相対音感には幅があり、どこまでどのように分かるかは、かなり個性があります。
それと同じように、「絶対」と銘打つ絶対音感にも、幅があるのでは、と私は考えています。
他の人の感覚を体験することは出来ないので難しいところですが…
実際、トレーニングによって「頭の切り替え」は可能になります。それはある種の翻訳作業に近い感覚です。
例えば、佐藤優子さんは、佐藤優子さんですが、状況によって、誰かの子ども、誰かの親、掃除係、グループリーダー、乗客…など、様々な肩書きに変わります。このような、音楽の場合の役割分担や立ち位置を瞬時に聞き分けるのが得意なのは相対音感「寄り」の方です。

3. 「揺るぎない絶対音感」はそもそも存在するのか?
実は、絶対音感といっても、機械のような「完璧な固定」は不可能です。
なぜなら、ピアノの調律ひとつとっても、和音の響きを美しくするために微妙な「幅(うなり)」を持たせていますし、基準となる「ラ(A=440Hz)」の数値も、オーケストラや時代、音源によって微妙にズレているからです。
「絶対音感」とは、そうした微細なズレ(許容範囲)を含めて、音を記号化して捉える能力です。そのため、体調や環境、あるいは聴く楽器の種類によって「今日は少し高く聞こえる」「迷宮入りする」といった揺らぎが生じるのも、ごく自然なことなのです。

⬆️私個人の感覚です。私(相対音感)も、音感には体調のように調子がある…ということを身をもって実感します。
絶対音感は「万能な魔法」ではなく、「人間らしい揺らぎ」があり、そこにこそ無限の可能性があるのではないかと感じます。

楽器によって「音感」のつきやすさが違う?
実は、ピアノ学習者よりもヴァイオリンなど弦楽器を習っている子の方が絶対音感がつきやすいと言われています。
ピアノは「ド」を押せば「ド」が出ますが、ヴァイオリンは自分の耳を使い、ミリ単位の指の位置を調整し、常に「正しい音」を探し続けなければなりません。
この「常に音を狙う」姿勢が、鋭い音感を育みます。(上の子のヴァイオリン練習を横で聴いていた下の子が、知らぬ間に絶対音感を身につけていた……という話もよくあることなのです。)
あなたは「ドレミ」で歌えますか?意外な落とし穴
ピアノを長く続けていても、「手の運動」だけで覚えていて、頭の中でドレミを鳴らしていない人は意外と多いものです。
相対音感が弱いか、もともと音をドレミに変換していないタイプの可能性かあります。
【やってみよう!】
楽譜も鍵盤も見ないで、自分の弾ける曲を「ド・レ・ミ」だけで歌い切れますか?
もし歌えないなら、それは脳が「音」ではなく「指の運動」だけで記憶している証拠です。
私が大人になってから気づいた衝撃の事実は、「すらすら弾けているハノンを、ドレミで歌えない人がいる」ということでした。
歌える箇所もあるが、歌えない箇所もある
右手はだいたい歌えるが、左手はほぼ歌えない
なども当てはまります。
もう既に体で覚えて弾き慣れた曲を、一から楽譜を読み直してドレミで定着させる作業は、かなりのストレスを感じる試練です。
ただし、もしそれができたなら、演奏と、曲への理解が見違えるほど良くなることはお約束出来ます。「何が起こっているか理解出来ている」演奏になるからです。
まとめ:絶対音感は「環境」が生むギフト
音階(ドレミ)は、人間の可聴域や西洋音楽の歴史の中で人間が作り上げたシステムです。
自然界に最初からあるものではないからこそ、「生まれつきの才能」ではなく、100%「環境」次第で決まります。
絶対音感を持っている音楽家たちが、絶対音感は別に凄いことじゃない、誰でもやろうと思えば出来たこと。と言うのはそのためです。
音楽への興味の有無に関わらず、親御さんの数年間の根気があれば、誰でも身につけることができます。それは「天才」になるための教育ではなく、日常に「ドレミというものさし」を贈る、素敵な種まきなのです。
そして、
小さなお子様に絶対音感をプレゼントしたい!と思う親御さんにはぜひ読んでいただきたい内容ですが、既にもう音楽を楽しんでいる大人の方には、良い意味で「気にしないで」いただきたいです。
せっかく音楽を楽しんでいらっしゃるのに、「分かってない」と水を差すつもりは全くありません。
誰もが羨む音感を持っていたとしても、音楽を楽しむ想像力を持ち合わせない人もいるでしょう。
大事なのは、音感教育は人生を豊かにする・日常を楽しむためのものだということです。




コメント